明快書評 by フクロウとキリギリス

火曜日, 11月 07, 2006

書評:復活 アメリカシロヅル絶滅への挑戦


アメリカシロヅルの生息数は1938年には29羽に減少し、絶滅は避けられないと考えられていた。それから官民あげた保護活動が始まり、この本の出版された1966年には44羽まで回復することになる。本書はこの30年にわたる保護活動の記録である。保護が遅れた最大の理由が、バードウォッチャーによる個体数は増加しているとの報告であった。後にこれらのアマチュア・レポートを検討してみるとシロヅルだと書いている特徴はペリカンやカモメ、カナダヅル等であったのである。善意によるシロヅル観察が壊滅的影響を与えたのである。実際の保護活動は事実を積み上げ、科学的裏づけのもとに行われたのであるが、政治とも無縁でいることはできず、読み物としても大変面白く書かれている。ちなみに現時点では320羽まで回復している。題名:復活 アメリカシロヅル絶滅への挑戦,著者:フェイス・マックナルティ,出版社:どうぶつ社,発行:1978年,価格:1300円,カテゴリ:動物
現在は絶版になっています。